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王子の初恋

「陛下、お客様が見えました。」
大きな扉が開き、国王であるヘンリーが背を向けて座っていた。
「何だ?急ぎの用か・・・・?」
「久しぶりだな、ヘンリー。8年ぶりか。」
国王である自分を何の敬称も無しに呼ぶその声には聞き覚えがあった。振り返るとそこには幼い頃幾多の苦難を共に乗り越えてきた親友、ケリンが立っていた。
「ケリン!」
ヘンリーは立ち上がり、駆け寄ってその手を取る。
「まさか、君がグランバニアの王子だったとはな。・・・・いや、今は国王陛下か。昔はとてもそうには見えなかったのにな・・・・。しかし、本当に、久しぶりだな。」
ヘンリーの側にいる王妃マリアも微笑んだ。
「お久しぶりです、ケリン様。『あのこと』があったとはいえ、お元気そうで何よりですわ。」
「お前はまだ若いが、オレたちははずいぶん老け込んだな。」
当時グランバニアの王子だったケリンは王位継承の後幼なじみのビアンカを妃に迎え、程なく双子を授かった。しかし、その直後王城が魔物の襲撃に遭い、王妃ビアンカは行方不明、そして彼女を追ったケリンも8年もの間石像と化したまま行方が分からなくなっていた。そして、ケリンと勇者の血を引く双子は依然行方の知れない彼女を探す旅を続けている。
「ビアンカさんと結婚してもう10年近く経つな・・・・。」
ヘンリーはそう言って、ケリンの後ろにいる双子に目を留めた。ケリンもその様子に気付き、双子をヘンリーの前に並ばせた。
つづく

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