王子の初恋

「父さん!」
駆け込むように双子が飛び出して来たことにケリンたちはは驚いていた。
「どうした、コリンズと遊んでいたんじゃなかったのか?」
ケリンが不思議そうに尋ねる。確かに、この部屋にはコリンズはいないようだ。双子は今までの事の顛末を父親に話した。
「・・・・・と言う訳なんだ。」
「そう、部屋に戻ったらコリンズがいなかったの。」
双子は一生懸命、事の重大さを伝えようとしていた。しかし、ケリンは優しく微笑んでいるだけだった。
「『子分の印』か・・・・。」
ヘンリーがしまった、というような顔をしていたのを双子は知らない。
「父さん、コリンズがどこに行ったか分かる?」
「ああ、よく知っているよ。」
ケリンはヘンリーのほうに視線を向けた、彼はまた苦笑していた。
彼は双子にコリンズの部屋の場所を聞き、ただ、窓の下にある机をよけてみなさい、とだけ言った。なぜなら、コリンズの部屋は前の王子の部屋と何も変わってはいなかったからだ。
「机の下に何があるのかしら?」
コリンズの部屋で双子は窓の下の机を動かそうとした。机は想像以上に軽く、1人でも簡単に動かせる程の重さしかない。そして、その机の下には、小さな隠し扉があった。アクアが注意深くその扉に手をかけると、下に続く階段が延びていた。
「この下に、コリンズがいるのか?」
つづく

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