竜騎士の道

燃える炎の髪を持つマケドニア王家の3兄妹。彼らはその武勇と美貌によって他国にも名を馳せていた。長兄ミシェイルは竜騎士団の長として、また一国の主として十分すぎるほどの実力と魅力を兼ね備えていたし、妹ミネルバも兄に劣らぬ実力で天馬に跨る白騎士団を束ね、戦場の女神と恐れられていた。それから、末妹マリアは兄たちとは違い、戦場を知らない物静かな王女であったが、心優しく優秀な神官として国民たちから慕われていた。
この3兄妹を擁するマケドニアの未来を誰が憂いていただろうか。
「だが、ミネルバは国を捨て、俺を裏切ったのだ。」
ミシェイルの顔が苦悩に歪む。老人が彼に向いていた視線を窓の外に向けた。
「それは違う。ミネルバは彼女自身の道を手に入れたのだよ。」
「道?」
「誰よりもマケドニアを思うそなたたちのこと、必ずその道は出会うはずであろう。」
それは現在の彼では理解しがたい答え。
その時、ひゅう、っと飛竜が嘶いた。ミシェイルに残された時間は少ない。彼は立ち上がり、老人に頭を下げた。
つづく

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