王子の初恋

「コリンズー!」
薄暗い部屋はさほど広くなく、その奥に探していたコリンズの姿があった。
「なんだ、もうバレたのか。つまんない奴らだな。もうちょっとは遊べると思ったのに。」
そう言い放つコリンズにマリンが近づいた。
「よかった・・・・。」
ゆっくりと見上げるその奇麗な瞳が潤んでいた。コリンズは驚いてマリンから離れようとする。
「そんな、泣くほどのことじゃないだろ。」
「だって、急にいなくなるから・・・・。」
マリンの涙は止まらない。アクアがコリンズに冷たい視線を送る 。たとえ双子でもアクアはマリンの兄なのだから。ぽろぽろと大粒の涙をこぼし、涙声になりながらもマリンは一生懸命コリンズに言った。
「びっくりしたんだもの。お母さんみたいに、いなくなっちゃうと思って・・・・。」
「ほら、マリン。ちゃんと見つかったからいいじゃないか・・・・。」
アクアがマリンをどうにか泣き止ませようとしている。コリンズはその気まずい雰囲気にどうしていいか分からなかった。
つづく

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