竜騎士の道
俺は『あの時』に自らの道を選んだのだ。
もう、妹たちと過ごした時間が戻ることはない。
裏切ったのは俺かもしれない。
マケドニア城に竜を駆る間、ミシェイルは先程の会話を思い浮かべていた。静かに語るあの老人の前では彼も子供の頃のように自分の気持ちを素直に表現することができた。その穏やかな表情を変えることなく、長い間マケドニア領土の片隅に住んでいるかの老人の名はガトー。ドルーアの暗黒司祭ガーネフ、アカネイアの大司祭ミロアに並ぶ3賢人の1人でもある。彼はアリティアの王子マルスをこの地で待っているのだった。
アリティアはドルーアと敵対する勢力である。現在マケドニアはそのドルーアと同盟関係にあるから、ミシェイルにとってマルスは敵対すべき存在になる。しかし、そのマルス王子の軍にはミシェイルの妹ミネルバと彼女が率いる白騎士団の一部、そしてマリアも参加しているのだ。
「ミネルバよ、俺は間違っていたのか・・・・?」
荒涼とした山岳地帯に広がるわが国マケドニア。この国に暮らす人々は本当に幸せだったのか。いや、後悔はすまい。選択のときはもう既に過ぎ去ってしまったのだから。
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